保健医療学部 Faculty of Health Sciences
保健医療学部は、鍼灸学科と柔道整復学科の2学科からなります。また付帯教育として、アスレティックトレーナーコース、健康運動実践指導者コースを選択できます。スポーツ医科学に関する専門知識や技術、健康増進に関する高度な知識の修得も期待されています。
鍼灸学科
東洋と西洋の医療を学び、時代に合わせた医療のあり方を考える
鍼灸は、東洋医学の一分野として長い歴史を持つ伝統的な治療法です。金属の細い鍼(はり)を経穴(けいけつ)と呼ばれるツボに刺す、または艾(もぐさ)を燃焼させて経穴に刺激を加え、人が本来持っている自然治癒力を向上させます。本学科では、東洋医学の専門的な知識や鍼灸の技術だけでなく、現代医学の基礎的臨床的知識も総合的に学びながら、これからの医療人に求められる幅広い知識やコミュニケーション能力を養います。
鍼灸の特長 Characteristic
WHO(世界保健機構)は、こんなに多くの効果を認めている!
一般的に、鍼灸治療は肩こり、腰痛、神経痛、関節炎などにのみ効果が有るように思われがちですが、WHO(世界保健機構)が鍼灸治療は以下の疾患に対しても効果があると認定しています。
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運動器系疾患
関節炎、リウマチ、肩こり、五十肩、腰痛、腱鞘炎、むちうち、捻挫など
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神経系疾患
中耳炎、耳鳴、難聴、メニエル氏病、鼻出血、鼻炎、蓄膿(ちくのう)、咽喉頭炎など
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消化器系疾患
胃腸病(胃炎、消化不良、胃下垂、胃酸過多、下痢、便秘)、胆嚢炎、肝炎など
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循環器系疾患
動悸、低血圧症、高血圧症、息切れ、動脈硬化など
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呼吸器系疾患
気管支炎、喘息、風邪および予防
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代謝内分泌系疾患
痛風、貧血、糖尿病など
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婦人科系疾患
生理痛、月経不順、更年期障害、冷え性、膀胱炎、腎炎など
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耳鼻咽喉科系疾患
中耳炎、耳鳴、難聴、メニエル氏病、鼻出血、鼻炎、蓄膿(ちくのう)、咽喉頭炎など
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小児科系疾患
小児喘息、消化不良、夜尿症、食欲不審など
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眼科系疾患
眼精疲労、仮性近視、結膜炎、疲れ目、かすみ目、ものもらい
鍼灸治療はなぜ作用するのかということを科学的に明らかにするためのさまざまな基礎研究も行われており、これまでに、鍼による鎮痛メカニズムや血液循環(血行)改善のメカニズムなどが証明されてきています。しかし、まだまだ足りません。研究者がもっと増えることが期待されています。
ピックアアップカリキュラム Pick Up Curriculum
実践的指導で、知識や技術を身につける
1年次から鍼灸学に関する専門知識を学び、治療技術を身につけます。講義中も身体に触れ、構造などを確かめながら実践的に理解を深めます。また、本学附属の鍼灸センターやクリニックでの実習を通し、高度な専門知識や技術を持った鍼灸師を育成します。
基礎刺鍼・施灸手技実習
基礎実習では、鍼灸治療を行うための基本動作やその手法を修得し、全身の目標とする部位に、安全に鍼や灸ができる力を養います。数多くの実習を繰り返し行うことで、より高度かつ実践的な技術を習得するための土台を構築します。
病理学実習
病気を理解するうえでは、肉眼による所見と同様に、顕微鏡を使用したミクロな所見も重要です。この授業では、組織の異常を見て臓器や個体の状態を推理するという、病理学的な見地で議論をし、病気について体系的に把握していきます。
附属医療施設における実習
本学附属クリニックでの臨床実習では、実際の診療現場を肌で感じ、医師との連携、問診を含む医療面接の方法、診察から診断までの過程を学びます。来院する患者さんに関するディスカッションを交え、実践的な臨床能力の向上を目指していきます。
医療面接
OSCE(客観的臨床能力試験)のなかでも重要な医療面接の目的や意義、医療面接と問診の違いや、必要な態度と技法、質問の方法などについて、実践的に学びます。
柔道整復学科
人体の構造や機能を学び、日本の伝統医療を、現代の医療に活かす。
骨折・脱臼・捻挫・打撲などの外傷を治療する柔道整復師。ほねつぎや接骨などとして知られる職業で、柔術を起源として長い歴史を持っています。本学科では、基礎力と専門力を高度に取り入れた臨床医学教育を行っています。また、実際の現場に行き、リアルな場で学ぶことによって「伝統と経験の技」の修得を目指します。あわせて科学的な視点と高い倫理観を兼ね備えた、思いやりのある医療人の育成を目的としています。
柔道整復の特長 Characteristic
歴史ある日本独自の伝統医療。自然治癒力を最大限に発揮させる。
日本古来の武術のひとつである「柔術」には、相手を殺傷する「殺法」と傷ついたひとを蘇生・治療する「活法」があります。殺法と活法は、発展変遷をとげ、現在「殺法」の技は競技柔道に継承され、活法は負傷者に施す治療法として「ほねつぎ」「接骨」として伝承され、「柔道整復術」となっています。柔道整復師は骨や関節、筋や腱、靭帯といった箇所に発生する骨折や脱臼、打撲、捻挫、挫傷などを手術をしないで治します。整復、固定などを行い、人間の持つ自然治癒力を最大限に発揮させるのです。
似てるようで違う、柔道整復師と整体師。
柔道整復と整体には、「整」という文字があるので、身体を整える似たような職種だと思われがちです。柔道整復師と整体師違いは主に2点あります。
1つめは資格の種類が違う点です。前者は国家資格で、後者は民間資格です。2つめは、保険が適用されるかどうかです。柔道整復師は、整形外科治療の補完を行うことが許されていますので、治療行為に対して病院と同じく保険が適用されます。しかし整体師は、痛みを持って訪れたお客さんの患部への治療はできません。日本標準産業分類によると「その他の療術師」とあり、「温熱療法、光熱療法、電気療法、刺激療法などの医療類似行為を業とする者」とあります。治療行為ではなく医療類似行為と分類されるので、保険が適用されないのです。
ピックアアップカリキュラム Pick Up Curriculum
実践経験を積み重ね、臨床能力を高める
1年次から柔道整復学に関する専門知識を学び、優れた治療技術を身につけます。身体に触れ、骨格の構造などを確かめながら実践的に理解を深めます。また、本学附属の接骨センターで実習を重ね、柔道整復師として必要な実践力を身につけます。
上肢の骨折実技
接骨院やクリニック、スポーツの現場における骨折の手当て、治療計画の立案や実践力を身につける授業です。評価の仕方から骨折した骨を正しい位置に戻すための整復法、整復位を保持するための固定法、さらに機能回復のための治療法について学びます。
下肢の骨折実技
下肢骨折に関する治療は、柔道整復師にとって欠かせない技術のひとつです。1年次で学ぶ骨の損傷概論や、2年次で学んだ部位別の下肢の骨折理論を基礎とし、下肢におけるさまざまな部位の骨折について、整復や固定を行うための方法を、講義と実技をまじえて学びます。
柔道
柔道と柔道整復師の関わりや、柔道整復師としての柔道の必要性を理解するための、必須科目です。礼法を学び、医療人としての人格形成や健康維持を目的としています。
臨床実習/学外実習
柔道整復師の業務範囲や医療機関との連携など現場で必要な基礎知識を身につけます。3年次には大学の附属医療施設において、問診や触診、検査および治療についての見学実習を行い、4年次には、学外の整形外科医院および接骨院での実習を経験します。
保健医療学部共通付帯教育
スポーツを楽しみ、健康づくりに励む人や
アスリートを支えられるスペシャリストに!!
スポーツに取り組む人々に適切な治療とケアを行うスペシャリストを育てるために、保健医療学部では2種類の付帯コースを設置しています。
※保健医療学部の学生のみが履修できる選択コースです。
アスレティックトレーナーコース(AT)
スポーツ現場において臨機応変に対応できる人物や信頼のおける人物が求められます。競技者がケガをした場合、応急処置やリハビリテーション・トレーニングなど、幅広いサポートを担うATはスポーツに関する知識はもちろん、医療的な知識やテーピングなどの技術力も必要となります。最近ではスポーツ現場だけではなく、医療機関・学校・福祉施設でも活動の場を広げている注目の職業です。
健康運動実践指導者コース
高齢化が進む現代において、厚生労働省が提示する健康施策の一端を担うスペシャリストとして健康運動指導者の活躍の場が増えています。近年では「運動による健康維持」を見直す人々をサポートするパーソナルトレーナー、インストラクターなどの需要も高まりつつあります。体を動かすことや人とのコミュニケーションが好きな方におすすめの資格です。