保健医療学研究科(博士後期課程)修了の山田さんの原著論文が『Clinical and Translational Neuroscience』および『Medicina』に掲載されました
2024年06月07日 社会貢献・研究
本学大学院・保健医療学研究科を修了した山田隆寛さんの博士後期課程での研究成果が、原著論文として一般医学雑誌である『Clinical and Translational Neuroscience』および『Medicina』の特集号「Persistent Pain: Advance in Diagnosis and Management(しつこい痛み:診断と管理の進歩)」に掲載されました。
内容は以下のとおりです。
原著論文1
Activity of Corrugator Muscle with Pressure Pain Stimulation in Healthy People (健常者を対象とした圧痛刺激に伴う皺眉筋活動)
【掲載誌】 Clinical and Translational Neuroscience. 2023;7(4):34.
【著者】 山田隆寛、矢嶌裕義、髙山美歩、今西好海、髙倉伸有
原著論文2
Corrugator Muscle Activity Associated with Pressure Pain in Adults with Neck/Shoulder Pain (頚肩部痛のある成人を対象とした圧痛刺激に伴う皺眉筋活動)
【掲載誌】 Medicina (Kaunas). 2024;60(2):223.
【著者】 山田隆寛、矢嶌裕義、髙山美歩、今西好海、髙倉伸有
博士後期課程での研究のポイント
- 痛みの治療や管理には、主観的な痛みの強さだけでなく、客観的な指標を用いた多角的な評価が望まれていますが、客観的な方法は確立されていません。
- そこで、顔の表情で痛みを表現する際に活動するといわれる皺眉筋(すうびきん/しゅうびきん:眉間(みけん)に皺(しわ)を作る筋)に着目し、医療現場で用いることが可能な「痛みの客観的な評価方法」の開発を目標に研究を進めました。
- その入口として、まず健康な人を対象として(論文1)、筋肉の痛みを評価する際に用いられる圧迫刺激を与え、表面筋電図を使って圧迫によって生じる痛みに伴う皺眉筋活動を観察し、続けて、世界中の多くの人たちが抱え、鍼灸治療の現場で最もよく遭遇する頚肩部痛のある人を対象として(論文2)、健康な人と同様の方法で皺眉筋の活動を観察しました。
- その結果、健康な人でも頚肩部痛がある人でも、圧迫による痛み刺激に伴って皺眉筋の活動が明らかに増加すること、痛みによる皺眉筋の活動には再現性があること、主観的な痛みや不快が強くなると、それに伴って皺眉筋活動が大きくなることが明らかとなりました。
- 本研究は、医療現場に簡便に導入することができる「圧迫による痛み」によって皺眉筋活動が増加することを世界で初めて示したものであり、圧迫刺激を用いた痛みの客観的評価方法の開発につながるものであると考えています。
関連サイト
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