看護学科 オーストラリア研修2023 現地レポート

2023年09月01日 国際交流

看護学部 看護学科ではオーストラリアのバサーストにあるチャールズ・スタート大学(Charles Sturt University)と学部間交流協定を締結しています。
2023年8月8日~18日に海外研修を実施しCSUを訪問しました。
現地からのレポートをお伝えします。

 

1日目/出国日

シドニー空港までマイケル・キーマン先生が迎えに来てくださいました。
バサースト駅行きの直行列車が出るまでの時間、セントラル駅周辺を散策しました。
日本の秋のような気温で、気持ちの良いひと時でした。
カフェで昼食をとって、バサースト行きの列車に乗りました。
バサースト駅では、心理学科のいずみ先生とCSUグローバルのアリスさんが迎えに来てくださいました。
駅のすぐ近くのHOTELでボリューム沢山の夕食を食べ、寮に向かいました。
寮のそばに、野生のポッサムが姿を見せてくれました。
アリスさんが「運が良ければ朝早くにカンガルーと会えるかも」と教えてくれました。

2日目

本格的にCSU(Charles Sturt University)研修が始まりました!
午前中は、先住民族(アボリジニ)の文化についてレクチャーを受けました。

午後には、救急医療学科の少人数クラスに参加しました。救急要請を受けてからの搬送までのプロセスについて、事例を通して活発に話合っていました。3年生(CSUは3年制の大学なので最上級生)だけあって、見事なアセスメント力で問題解決にあたっていました。
この演習を経て、実際の現場で実習に出るそうです。
寮の裏で野生のカンガルーと会うことが出来ました。お腹に大きな赤ちゃんがいます。

3日目

午前中は、マイケル・キーマン先生によるオーストラリアの医療についての講義を受けました。
日本同様高水準の医療提供のあるオーストラリアでは、日本の国民健康保険のようにオーストラリア人および永住権保持者が加入できる「メディケア」があります。
高齢化が進む中で看護師の数が足りていないことと、先住民族であるアボリジニの看護師も足りておらず文化に配慮したケアを行えていないことが課題となっているそうです。

午後は、看護学科2年生のシミュレーション演習を見学させていただきました。
実践的かつ専門性の高い内容でした。CSUの看護学生さんも親切に説明しながら演習を進めてくれました。1年生のころから、理論とシミュレーション演習を交互に行い、学年が上がるとともに複雑かつ高度な事例をつかっていくそうです。それでも3年間(CSUは3年生の大学)では学びきれないことがあり、病院は看護師の新人教育に力を入れざるを得ない状況だそうです。

4日目

本日は12歳から25歳を対象としたメンタルケアを中心としたサービスを行うHeadspaceとBathurst Hospitalの見学をしました。
Headspaceは街中にあり、悩みを抱えた若者や家族が気軽に立ち寄れる場所になっています。利用者の3分の2が高校生くらいの年代だそうです。不安障害やアルコールや他の薬物中毒、仕事や学業のサポート、引きこもりに困る家族なども利用するそうです。同じような年代スタッフによるピア・サポートも行われています。

午後は、100床ほどの病床数の地域の中核病院であるBathurst Hospital見学をしました。
看護部長のトレーシー・ウィッチさんが、病院の説明の後、救急外来、ICU、小児病棟、内科病棟、緩和ケア病棟、リハビリ病棟、外科病棟、外来透析室を案内してくださいました。
日本の病院との類似点や相違点を見出しながら、既習の知識と照らし合わせながら、キラキラした目で病院見学をしていました!

5日目

本日は土曜日で大学もお休みなので、ブルーマウンテンへと出かけてきました。
ブルー マウンテンズは、原生林に覆われた砂岩の尾根がそびえ立っていて、広大な自然に触れることが出来ました。
道々に咲き乱れる黄色いかわいらしい花がオーストラリアの国花であるゴールデン・ワトル(アカシア)の花だと知り、学生は「日本人にとっての桜のようなものかな。この花が咲いているときに来ることが出来て嬉しい!」と言っていました。
遊歩道沿いには、昔の炭鉱の跡があり、この国の歴史を知る良い機会にもなりました。自然豊かな渓谷の景色をロープウェイで眺めることもできました。どこまでも続くブルー マウンテンズを前に「時が止まっているように感じる。」と呟く学生もいて、忙しい大学生活の合間に、そんなひとときを過ごせたことが何よりだったのでは、と思いました。

6日目

本日日曜日、学生は自由行動をしておりましたので、学生からの報告を下記いたします。

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今日は、午後から街に探索しピザを食べました。注文は慣れたもので、スムーズに注文することができました!店内はとてもおしゃれで、ピザもとても美味しかったです!その後、初めて行ったモールで明日のパーティの買い物をし、夜はスペアリブ、チーズマカロニ、ラザニアなどを食べ、残りの日数が短くなるのを惜しみつつ、仲を深めました。

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7日目

本日は、午前中にシミュレーションセンターの見学をしました。
救急救命学部と看護学部が共有するシミュレーションセンターでは、職員4人が部屋や機材のメンテナンスを行ったり、授業の様子をモニタリングしたりしているそうです。モニター室からはカメラを通してシミュレーション室の様子を見ることが出来、実技試験の様子をチェックしたりもするそうです。時には両学科合同で、パラメディックが救命処置を行った後に看護学生が病院でのケアにあたる、といった想定で演習も行うそうです。
昼食は、CSUの心理学部の先生方のご厚意でピザパーティに招かれました。TAUの学生も、すぐに同年代の心理学部の学生さん達と打ち解け、身振り手振り(時にはスマホも使いながら)楽しそうに会話していました。

8日目

今日はバサーストキャンパスで過ごす最後の日となりました。
本日午前中は、社会福祉(ソーシャル・ワーク)学部のDr. Suzan Micek氏よりオーストラリアの社会福祉についてお話を伺うことが出来ました。

午後は看護学部1年生の少人数授業を見学させていただきました。
テーマは「呼吸器疾患」でした。初めに多くある呼吸器疾患や症状についての復習(事前課題として課してある)をしてから、ケーススタディに入りました。
授業後、看護師の大学教育は1990年ごろから始まったが、座学が多くなり、十分な技術を身に付けられないまま看護師になることや、附属病院がない場合には実習場の確保が難しいことなど、日本の看護教育にも共通する問題点がオーストラリアにもあることを教えてくださいました。「看護教育について互いに情報交換するのはとても興味深いわ。」とも言ってくださり、今後もこのような交流が続くと良いなと思いました。

夕飯までの短い時間を利用して、カンガルー・ウォークに出かけました!40匹近くのカンガルーの群れを見ることが出来ました。ここのカンガルー達は比較的人に慣れているそうですが、それでも一定距離以上(20~30mくらい)近づくと、逃げてしまいます。大きな身体の雄が群れ全体を守るかのように見張っていました。
夜はマイケル先生、いずみ先生、アリスさんから、中華料理店でフェアウェル・ディナーをごちそうになりました。この8日間を通していっぱいお世話になり、皆感謝の気持ちでいっぱいになりました。

9日目

朝早くの電車で、シドニー行きの列車に乗りました。
シドニーでは、ガイドの方と一緒にオペラハウスや教会を尋ね、シドニーの歴史に触れることが出来ました。シドニーはイギリス人が初めに作った街で、移民や軍人の他、労働力として囚人も連れてこられたとのこと。開拓した町は岩盤層も厚く、足枷をはめられての労働は重労働だったと思います。また、刑期が終えたあとも彼らは帰ることもできず、囚人同士で結婚することも多くあったそうです。

夜は、いずみ先生のご子息とその幼なじみの方がともに夕食を食べてくれました。
スマホを使いながらでしたが、会話も弾み、楽しいひと時になりました。

10日目

本日は一日シドニーで過ごしました。
朝いちばんにTronga Zoo(タロンガ動物園)に行き、念願のコアラ・エンカウンターを予約することが出来ました。
コアラは近年生息地に適切な環境の縮小や干ばつや山火事などにも影響を受けており、絶滅危惧種となっています。タロンガ動物園ではコアラの保護を優先しており、コアラ・エンカウンターでは、5分間コアラのそばにいたり写真を撮ったりすることが出来ますが、決して触ることが出来ません。またお仕事するコアラは日々交代しており、「ワーク・ライフバランスが保たれている」と、担当の方がユーモアたっぷりに説明してくださいました。
他の動物もできるだけ自然な形で生息できるように配慮がなされている動物園でした。

動物園からはシドニー・フェリーでサーキュラー・キー(Circular Quay)港まで10分のりの短い乗船を楽しみました。
本日のシドニーの気温は20℃まで上がり、日差しの眩しい一日でした。学生達は、のびのびと動物園、フェリー、港でのランチ、街の散策を楽しんでいる様子でした。

11日目/帰国日

シドニー国際空港までマイケル先生がお見送りに来てくださいました。
いつも温かく学生達を見守ってくださった先生とのお別れはとても名残惜しかったですが、再会を約束してゲートをくぐりました。