令和5年度入学式が挙行されました

2023年04月13日 お知らせ

令和5年4月4日(火) 本学の花田ホールにて令和5年度入学式が挙行されました。

令和5年度新入生への学長メッセージ

令和5年度入学式 林学長式辞

新入生の皆様、本日のご入学、誠におめでとうございます。私共教職員一同、そして在学生を併せて、心よりお祝い申し上げます。また、保護者の皆様をはじめとして、本日の入学に至るまで、新入生をお導き頂きました多くの関係者の皆様に厚く御礼申し上げますと共に、お祝い申し上げる次第です。本日の入学式は皆様の歓迎式典でもありますので、本来であれば、盛大に挙行すべきところではありますが、本日現在、新型コロナウイルス感染症は二類感染症に指定されております現状を鑑み、式典を簡略化して行うことをお許しいただきたいと思います。

さて、本日は、保健医療学部、看護学部、そして、大学院の新入生の皆様をお迎えしておりますが、この内、特に学部新入生の皆様には、過去三年間の高校生活をすべてコロナ禍の元、過ごされてきたのではないかと思います。多くの授業が遠隔でなされ、また、登校してもマスクを着けたままで友達の顔をみることもできず、さらには、さまざまな学校行事も中止、あるいは、多大な制約のもと行われることとなり、大変なご苦労をされてきたものと推察いたします。また一方で、過酷な環境の中でも懸命に業務に従事する医療関係者の姿が連日のようにマスコミで報道されてきました。このような状況下において医療職になることを志して勉学に励み、そして、私共の大学を選んで入学されてきた皆様に心より敬意を表します。

日本全国の高校生が皆同じような環境を過ごして来たという言葉は皆様にとっては、何の慰めにもならないことは百も承知しておりますが、幸いにも、この連休明けには、新型コロナウイルス感染症は五類感染症に変更されることが予定されており、今後、徐々に、コロナ前の生活に、とは言っても以前と全く同じではないと思いますが、世の中は戻って行くのではないかと思います。皆様には、今後の大学生活四年間において、高校時代の三年間を取り戻す積りで、存分に楽しい学生生活を送って頂きたいと思います。私共は、皆様のはじける笑顔を待ち望んでおります。

しかし、そうは言っても、大学は遊ぶ所ではありません。大学は高等教育機関とも最高学府とも言われている通り、学問をする所です。一体、大学では何を学ぶのでしょうか?私事で恐縮ですが、半世紀近く前、私が大学一年生になった時に、体育の最初の授業で担当の先生からこう言われました。君たちは、偉大なテーノジに成りなさい、と。これを聞いて私は漢字の甲乙丙丁の丁の字を思い浮かべましたが、偉大な丁の字とは、全く意味不明でした。その後、先生は黒板にアルファベットのTの字をお書きになり、ようやくわかりました。その先生はドイツ語にご堪能だったのでしょうか、英語ではティーと発音するところをドイツ語風にテーと発音される癖があったのです。テーノジは、Tの字、の聞き違いだったのです。アルファベットのTの大文字は、横の棒と、その真ん中から下に向かう長い棒から出来ています。その先生曰く、Tの字の下の長い棒は、君たちが専門とする学問であり、これは私の場合は医学ですが、君たちが大学で専門の学問を学ぶのは当たり前のことである。しかし、横の棒が肝心であり、これは教養である。教養を学んでこそ専門の学問が生きる、従って、しっかりと教養を学びなさい、ということでした。半世紀たっても私が未だにこの言葉を覚えておりますのは、ただ聞き違いでびっくりしただけではなく、その後、私自身がまさにその通りだと思っているからです。

教養を一言で表現することは、余りにも困難ですが、私は、己自身も含めて人間とは何かを知ること、その人間が集まって出来ている社会とは何かを知ること、その社会が存在する環境、自然環境・人工環境を含めて、これらを知ることではないかと思っております。従って、医学医療の学問に限らず、すべての学問の土台になるのが教養であり、教養なくして学問は成立しないと思っております。例えば、医学医療では、さまざまな疾病を相手にしますが、私共が向き合うのは、疾病ではなく、その疾病に罹患した人間です。同じ病名でも、人によってその訴え方、つまり症状は千差万別です。病気は治ったが病人は治せないということは有り得ないのです。人間を知らない限り、病んだ人を治すことは出来ません。さらに、疾病は、私共が知らない、あるいはすぐにはコントロールできない原因によって、しばしば引き起こされます。新型コロナウイルス感染症しかり、あるいは、地震や洪水などの自然災害、はたまた、戦争がその実例です。医療者は目の前の病者の背後にある情景を思い浮かべることができる能力を常に要求されます。この能力が教養です。

教養に関する授業科目は一年生、二年生のカリキュラムに多く配置されておりますが、勿論、それで十分ということは全くありません。教養についての学修は大学四年間に止まらず、極言すれば、一生続きます。授業だけではなく、例えば、友達と話すこと、図書館にゆくこと、サークル活動をすること、アルバイトをすること、すべて、教養につながります。鍼灸学、柔道整復学、看護学の土台にあるのは、教養です。新入生の皆様が常に知的好奇心を持って教養を積み重ねながら、今後四年間の大学生活を送られんことを、切に望みます。

次に、大学院の新入生の皆様に申し上げます。大学院は研究をする所です。研究においては、単なる一つ一つの知見の集積に加えて、深い思索、思考をすることによって、初めて、知見が知恵へと変換されてゆきます。研究の使命とは新しい知恵を人類にもたらすことにあります。ご自身の研究で得られるであろう成果の何が新しいのかを、英語で言えばサムスゥングニュー、ドイツ語で言えばエトヴァスノイエスは何のかということを常に意識しながら、これから研究に励んで頂きたいと思います。

私共は、学部、大学院のすべての新入生の皆様が、知恵ある医療人になって頂きたいと願っております。卒業するときに皆様がこのことを実感できるよう、私共は精一杯お手伝いをさせて頂きますので、皆様には、今日から、明るく希望に満ちた、そして充実した大学生活、大学院生活を始められますよう、心から願っております。

以上、大学を代表いたしまして、皆様への入学のお祝いと歓迎の辞を述べさせて頂きました。

令和5年4月4日
学校法人 花田学園 東京有明医療大学
学長 林 洋

本学客員教授である3名の海外の先生方から祝辞をいただきました

ハーバードメディカルスクール プロフェッサー Ted Kaptchuk先生

ハーバードメディカルスクール プロフェッサー Jian Kong先生

イリノイ大学シカゴ校 看護学部 アシスタントプロフェッサー Judith Schlaeger先生